泣きながら一気に書きました

妄言コラムと気儘批評と悪戯短篇小説の巣窟

『ホログラム』/NICO Touches the Walls

ブレイクの階段を絶賛駆け上がり中のNICOにとってこのシングルは、「問題のない問題作」である。そもそも彼らには、爽快青春曲“Broken Youth”の中に〈器物破損罪など承知ノスケ〉という突飛な歌詞を挟んでしまう問題児的側面と、ミスチルスピッツの流れを正当に汲む優等生的側面の両面が混在していた。しかし本作のタイトル曲“ホログラム”において、その問題児的要素はほぼ消え去ったと言っていい。歌詞にもメロディにもひねくれた要素が一切なく、ポジティヴかつストレートに主張を響かせてくる。もちろんそれには、この曲がアニメ『鋼の錬金術師』の主題歌として作られた楽曲であるというのも関係しているだろう。「彼らも大人になった」と決めつけるのは容易い。だが忘れてはならないのは、この曲が圧倒的に素晴らしいメロディを持っているという点だ。あらゆる疑念はそのクオリティの前にひれ伏すしかない。カップリング2曲も含め、歌を中心に据えた方向性に覚悟が漲る。とはいえ、今後この方向性ばかり続くと寂しい。

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