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泣きながら一気に書きました

妄言コラムと気儘批評と悪戯短篇小説の巣窟

『IN10SITY』/PINK CREAM 69 『インテンシティ』/ピンク・クリーム69

正直マンネリ感は否めないものの、狭い範囲内での健闘を見せるPINK CREAM 69の10作目。

デイヴィッド・リードマン加入後の名盤『ELECTRIFIED』で新たな基準を打ち立てて以降、すっかり型に嵌って長いトンネルに入った感が拭えない彼らだったが、結局のところそのトンネルの中であっても良い曲は作れるのだと証明するかのようなアルバム前半。特に疾走曲①②④のレベルはかの名曲“Shame”に匹敵する出来で、似たような曲が多くともこのクオリティならば文句はない。

問題はむしろ色気を見せた後半である。簡単に言えば本作は前半がHM、後半がHRという構成になっており、明らかに後半が弱い。

もちろんそれが「構成」などという計算ずくのものではないのは明らかで、このバンドの場合、息切れするとついついアメリカン・ハード・ロック方面に転がる傾向が強い。むしろ前半曲のようなHM路線の曲は、かなり意識的かつ丁寧に作っている感触があり、そちらで頑張りすぎたぶん、後半「流した」と見るのが妥当だろう。

アンディ・デリス在籍時は、どうしても彼の歌が演歌チックに楽曲を仕上げてしまうため、かなりアメリカンな楽曲でもメロディアスに響いていたが、デイヴィッドのVoは幅広く対応可能であるため、そういったカウンター効果はない。結果として根が明るくグルーヴィーなタイプの楽曲は、素直にそのままありがちなアメリカンHRとして出来あがる。そう、彼らの作る楽曲には、妙に「根が明るい」部分があって、それがあまりストレートに前面に出ると、屈折がなさすぎて量産型アメリカンHRを生産してしまう。

おそらくは彼ら自身にもそれがわかっていて、だからこそ勝負所となるアルバム前半部に、陰りのあるHM曲を配置していると思われる。問題はそれを最後まで貫徹できるかということなのだが、あまり続けると今度はバリエーションのなさが気になってしまい、HR曲で幅を広げようとする。となると今度はHR路線が続いてまたしてもマンネリになってしまうのだが、そこからさらに他の路線を持っているわけでなし、かといって冒頭のHM路線にもすでに飽きており、結果としてなんとなく同系統のHRをやりっぱなしのまま後半が続いてゆく。そんなアルバム制作過程の心境を勝手に読み取れるほどに、前半の充実ぶりと後半の流しっぷりの格差が激しい。

だがそれでも、全体的に流している感の強かった近作に比べれば、前半の充実ぶりだけでも大きな収穫と言える。メンバー各自がサイド・プロジェクトにうつつを抜かすことなく、よりバンドに集中しさえすれば、全体としてもうワンランク上のものが出来そうな気がするのだが。

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