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泣きながら一気に書きました

妄言コラムと気儘批評と悪戯短篇小説の巣窟

SUMMER SONIC 09 8/8(土) ライヴレポート

◆HOLLYWOOD UNDEAD
覆面&大人数でSLIPKNOTのパクりかと思いきや、メロディの感触もラップから歌へのつなぎも、明確に初期LINKIN PARK。パフォーマンスも大人しく、覆面をしていることの凄みも皆無。特別派手なアクションもないので、どうしてもステージ上で人数が余っているように見える。

一曲目のリフが妙に格好いいと思ったら、OZZY OSBOURNE“Crazy Train”のかの有名な冒頭リフの完パクでびっくり。歌メロはやはりリンキンの影響が強いが、かなりキャッチーなのは確か。アメリカで売れる要素はさすがにきちんと入っている(現に売れている)。途中であっさり覆面をはずして飄々とプレイしていたが何なのか。

実力はちゃんとありそうだが、ちょっと商品価値を無闇に乗せすぎな、作られたバンドである印象も。

◆MASTODON
今回一番期待していたバンドだけに、失望も大きい。とにかく歌が下手すぎる。複数で代わる代わるヴォーカルをとったりコーラスを被せるのだが、誰ひとりとしてまともに歌えていない。下手さを「味」と言い張れるレベルにも達していない。

音の分離が悪く、にもかかわらず終始複雑なことをやっているため、何をやっているのだかわからない。多くの観客がアルバム未聴であるフェスの場でこれをやってしまっては、大トリでもない限り盛り上がるはずがない。アルバムも渾然一体とした印象はあったけれど、あれはあれでちゃんと必要な部分は明確に分離されていたことが改めてわかる。オーディエンスが盛り上がりどころを探しあぐねているのが新鮮ではあったが。

今後、音質の改善が望まれるが、しかしそうなるとおそらくVoがより剥き出しの形になってしまい、歌の弱さが露呈してしまう形になるかもしれない。アルバムでのあえてレイドバックしたような音作りは、ワイルド感を演出するためだとばかり思っていたのだが、むしろ歌という弱点をカバーするための消極的選択肢だったのかもしれないと思えてくる。

SPIRITUAL BEGGARSのJBのような、強力なVoが欲しい。

◆LITTLE BOOTS
移動に時間が掛かり、2曲しか観られず。ロックというよりは、完全にエレポップ。'80年代のマドンナ路線から、毒を抜いた感じというか。

しかしアメリカ勢に比べると、動きも歌も純朴で田舎臭い印象。だがそれはそれで好感が持てるし、LADY GAGABEYONCEのマッチョ路線に行かないのは正解だろう。

声量に乏しく、踊りというほどの踊りもないので地味といえば地味だが、ひとむかし前のディナーショーのような佇まいは、案外堂に入っていた。このまま洗練されず、素材を生かしたまま行ってほしい。

MANDO DIAO
思っていた以上に素晴らしく、迷いのないパフォーマンス。

ド頭から躍動曲連発で盛り上げる。その後に挟み込まれるバラード系楽曲には魅力を感じないが、オーディエンスはおおむね好意的に受け止めているようだった。アルバム中では捨て曲が少なくないバンドだが、ライヴでやる楽曲の頭数は揃ってきている。

やはり“Gloria”は超名曲。

HOOBASTANK
旧来の跳ねる楽曲群を前後に配置し、ここ2作のヘヴィな曲を挟み込む構成。よって予想どおり、中盤ダレる結果に。

Voの声が以前に比べて多少落ちているような気もするが、ステージ上の動きも含めて相変わらずメジャー感がある。

素晴らしいバンドであることは間違いないので、ライヴ・パフォーマンスは今後も最新作の楽曲次第ということになるだろう。

◆B'z
思いきり飯を食いにいってて2曲しかまともに観ていないのだが、実は彼らがこの日のベスト・アクトだったかもしれない。好き嫌いは別にして。

当初はここの時間帯で、洋楽ファンとB'zファンの客層入れ替えが起こると予想していたのだが、実際は入る人ばかりで出る人はほとんどなく、スタジアムのアリーナはこの日初の入場制限が掛かることに。スタンド席もほぼ満席状態。途中から入るのに苦労し、スタンドのはじっこでおとなしく観る。

とはいえ、「まあついでだから観たい」という人が多いだけで、あとはアリーナのコアファンが部分的に盛り上がっているだけかと思いきや、なんだかスタンド席の隅々まで総立ちで歌い声援を送っている。

もちろん洋楽ファンとB'zファンの間にかぶりはあるだろうが、また明確な隔たりもあって、それは着ているTシャツやタオルに入ったロゴからも明らかである。両者の間には音楽性の違いというのはもちろんあるが、何よりもファンの体質が違う。ちなみに僕はB'zの音楽は特に好きでも嫌いでもないが(いいと思う曲は数曲あるが)、「B'zファン」というのがどうにも苦手である。

だが一方で、これは以前観たときも思ったのだが、彼らの安定感抜群のライヴ・パフォーマンスには、たしかにまぎれもない「求心力」がある。

語尾を頻繁にしゃくり上げるその歌唱法には相変わらず疑問を感じるが、Vo稲葉の声量、歌唱力、そしてキレのある動きには感服せざるを得ない。松本のギターをはじめとするバックの演奏陣も非常にタイトで、音作りも非常に明瞭であり、スタッフも含めた全体のチームワークにも、手抜かりのないプロフェッショナルな姿勢が伺える。

その「出来すぎた感じ」が、お金と労力を最大限掛けまくった感じで、ある種嫌味でもあるのだが、客を喜ばせるプロの態度として、それは間違いではない。あとはその「出来すぎた」印象に音楽的魅力を、恰好つけて言えば「ロック」を感じるか否かという個人的趣味の問題であって、僕はそこにあまり魅力を感じていない、というだけの話である。

いずれにしろ、この日のラインナップの中で、彼らは最も完成度の高いショーを見せていた。それは素直に認めるべきだろう。完成度を重視するかどうかは別にして。

LINKIN PARK
大トリのリンキンは、いきなり1曲目冒頭からチェスターのマイクのスイッチが入らないというトラブルからのスタート。やり直すかと思いきや、そのままマイクを交換して続きを演奏。なんとなくモヤモヤした感じがしばし残る。

全体としては充分に楽しめる内容だったが、今回改めて気づいたのは、チェスターはあまりリズム感が良くないのではないか、という点。基本的に相方のマイク・シノダがラップを担当しているため、Voのリズム面はそちらの担当とみなされがちだが、部分的にはチェスターにもまくしたてるような歌を必要とされる場面がところどころあり、そういう場面でのちょっとしたリズムのズレが妙に気になった。

ライヴ後半に差しかかったところで、チェスターのソロ・プロジェクトであるDEAD BY SUNRISEが登場し、3曲ほど披露するというサプライズあり。もちろんチェスターの歌を重視したスタイルであることは想定内だが、メロディの方向性自体がリンキンとは根本的に異なる印象で、一聴した感じではあまり魅力を見出せなかった。いずれも明るくアメリカンな抜けの良さを感じさせる楽曲で、リンキン特有の湿度の高さをあえて排除している感も。リンキンのライヴ途中に挟みこむには、ちょっと違和感のある音楽性であったように思う。

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