泣きながら一気に書きました

不条理短篇小説と妄言コラムと気儘批評の巣窟

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虫コナーズ」の「ズ」の部分に、メーカーはよくOKを出したものだと思う。複数形でもないのに。

だがたしかに、「虫コナー」だと語尾が流れてしまい落ち着かない。伝説のクソ野球ゲー『燃えろプロ野球』での理不尽きわまりないバントホームランでお馴染みの助っ人外国人「ボブ・ホーナー」同様に落ち着かない。何か最終段階で手を抜いているような、詰めの甘さを感じる。

一方で「ランディ・バース」だと、「ス」のおかげで十全に「大人の落ち着き」が加味される。もちろん複数形ではないから、単に落ち着きの「ス」である。さすがとしか言いようがない。

と、ここで急に思い当たったのは、もしかして「虫コナーズ」の「ズ」は、否定形の「ず」(「〜せず」「〜にあらず」の)なのではないかということ。だとすると、「虫コナーズ」は、「虫来ない」と「虫来ず」の複合系であるという、ハイブリッド・ネーミング説が持ち上がってくる。

しかし現実には、「虫来ない」という否定形にさらに否定形の「ず」を追加すると「虫来ないず」となり、そこから響きをヤスリ掛けすれば「虫コナーズ」にはたしかになるのだが、意味的には二重否定で「虫こないず」=「虫来ないことない」=「虫来る」になってしまう。

だから意味的にはむしろ、「虫来る」+否定形の「ず」=「虫クルーズ」にしたほうが良いのかもしれないが、それだと「来る」感じが拭えない上に、虫たちがさも快適にクルージングを楽しんでいるような加山雄三的イメージさえ湧きおこしてしまい不本意である。あるいはトム・クルーズ気取りのかっこつけ感。虫のくせに。しかも虫のなかでも、クワガタやカブトムシと違ってかっこ良くない小虫風情のくせに。ちなみにクルーズという助っ人外国人も昔いたはずだ。

つまり「虫コナーズ」は秀逸な名前であるというのが言いたかった。「言いたいことも言えないこんな世の中じゃポイズン」と歌ったのは反町隆史だが、毒蝮三太夫のラジオを聴くといいと思う。

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