声の魅力とは何なのだろう?
マイケル・キスクの声が、飛び抜けて個性的だとは思わない。たとえばアクセル・ローズやグレン・ヒューズに比べれば、声も歌い方もごくプレーンである。なのに誰もが彼の声を欲しがるのはなぜか?
外部ソングライターの楽曲を歌う本プロジェクトで、彼はたしかに輝いている。何のてらいもない産業ロック的楽曲も、すっかりキスクの所有物として魅力的に響く。最近のソロ作と比べても、明らかに彼が歌うべき必然性を感じる。
かといって器用なわけでもなく、むしろ何を歌ってもキスク的すぎて、聴後は胃にもたれるほど。やはりこの歌声は特別なのである。他人に引き出してもらうタイプの才能というのが間違いなくあり、そういう人の周りには有能な人材が集まることになっている。
次はより格上の作曲陣から引き出される彼のポテンシャルを聴いてみたい。