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泣きながら一気に書きました

妄言コラムと気儘批評と悪戯短篇小説の巣窟

『END OF DAYS』/V.A 『エンド・オブ・デイズ』サウンドトラック

音楽レビュー(HR/HM) 音楽レビュー(ROCK)

ガンズ・アンド・ローゼズ - End of Days

何しろ前作から17年もの時が経過しているのだから、出る出ると言いながらいっこうに出ない「出る出る詐欺」の末ついに登場した新作を解き明かす鍵はどこにでも無数に転がっているような気になるのだが、実のところ証拠と呼べるほど確証の高い材料は非常に少ない。渦の中心にいるアクセル本人の証言があまりに少なく、ライヴでちらほらと新曲を披露してはいたものの、この不在期間の過程を伺わせる素材がオフィシャルにはほとんど存在しないためである。

GUNS N' ROSESの新作『CHINESE DEMOCRACY』をめぐる賛否両論の背景には、そのような事情も大いに関係しているように思う。新作の楽曲群は前作からの過程を物語ってはいるが、作品として提示された以上、それは過程ではなく「結果=今のガンズ」と受け止めるべきかもしれない。

なんといっても17年というのは長大な時間である。3歳の子供がもう20歳になって酒たばこを嗜んでいる、というのはわかりやすすぎて怪しい例えだが、充分に成長することも禿げることも太ることもできる時間である。ならばせめてその間の経過報告となる写真でも何枚か見せてもらえれば、と思ったところにたった1枚だけ届けられたスナップショット。それがこのサントラに収められている“Oh My God”という楽曲である。

音楽的には、当時アクセルがお気に入りを公言していたNINE INCH NAILSの影響とおぼしきインダストリアルな質感こそあるものの、骨組みは比較的ストレートなガンズの疾走曲と言える。同じシュワルツェネッガー主演だからなのか、映画『ターミネーター2』の主題歌となった“You Could Be Mine”に近い印象。だが歌声にこれでもかとエフェクトが掛けられているため、濃霧越しに彼方から響いてくるようなアクセルのヴォーカルは、不安視されていた歌唱力の低下を誤魔化している風にも取れる(個人的には後の来日公演でその疑念は払拭されたが)。

そしてさらに怪しいのは、この一曲だけなぜか作詞作曲クレジットがない(本サントラの他の楽曲にはすべて明記)という不可解な事実。いやクレジット自体はむしろ変に詳細なところもあって、ミックスがテリー・デイトによるものであるとか、ゲストギタリストとしてデイヴ・ナヴァロが参加していることなどはきっちり表記されていたりするのだが。その意図はよくわからない。

とはいえその出来は、ガンズの作品として及第点をクリアした佳曲。『USE YOUR ILLUSION』と『CHINESE DEMOCRACY』のいずれに入っていても不思議はなく、またその間を繋ぐものとしても相応しい佇まいであると、今となっては思える。むしろ新作に、あといくつかこの手の直球曲があれば良かった、と思う向きもあるだろう。
 
この17年間におけるアクセル=ガンズの辿ってきた変化の道のりが、けっして不自然なものでも何かを狙った意識的なものでもなく、人間としてのごく自然な変化だったのだと証明しているようでもある。

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