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泣きながら一気に書きました

妄言コラムと気儘批評と悪戯短篇小説の巣窟

『STEADLUR』/STEADLUR 『ステッドラー』/ステッドラー

GUNS N' ROSESやMOTLEY CRUEの流れを汲む「80'sアリーナ型ハード・ロック」復権の動きが、ここへ来てにわかに活発化している。今のところHINDERあたりを筆頭とするその動きに、このSTEADLURも加勢することになるはずだ。

とはいえ、このムーヴメント自体はそう急な話でもない。おそらくは、活動休止状態から蘇った新生BUCKCHERRYが2005年発表の『15』で起死回生の再ブレイクを果たしたあたりから、その気運は高まっていたと見るべきだろう。

そしてさらに遡るならば、実のところ遙か彼方北欧の地において、しばらく前から80年代ハード・ロック復権の動きが確実に存在していた。90年代前半にスウェーデンから登場したBACKYARD BABIESをはじめ、“ハードコアでも何でもない”HARDCORE SUPERSTAR、“ノルウェージャガーさん一味”WIG WAM、“フィンランド変態仮面LORDIなど、辺境地域ならではの恥ずかし気もないオーバー・リスペクトを持って、彼らは堂々とゴージャス&ワイルドな80年代アメリカン・ハード・ロックをぶちかましていた。それはまるで、田舎の女子高生が安室奈美恵以上にアムラーで、東京のヤマンバギャル以上にヤマンバであったように、都会からの距離は、ストレートかつ過剰な影響となって地方に現れる傾向にある。

あらゆる歴史的革命に潜伏期があるように、この80'sスタジアム・ロック復権の動きにも、アメリカ本土とはかけ離れた場所で地道に活動してきた、上記アーティストたちによる下地があると見るべきだろう。たとえ小規模であっても、どこかで受け継がれ続けている流れというものは、必ずや後継者にとってその路線を選び取る際の勇気となる。

とはいえもちろん、STEADLURのロックは、そんな北欧を経由した流れとは何の関係もないのかもしれない。たとえば本作のライナー・ノーツにおいては、DAUGHTRYやSHINEDOWN、RED、PAPA ROACHなど最近のアメリカン・ヘヴィ・ロック勢との関連で語られており、たしかにアメリカ国内におけるくくりでは、彼らはそこらへんの一派として扱われることだろう。

しかしまた一方では、それらアメリカン・ヘヴィ・ロック勢に比べると、このSTEADLURはあまりに80年代直系の音を鳴らしており、90年代グランジをすっ飛ばしているという意味では、ヘヴィ・ロックと呼べる要素は非常に希薄であり、むしろ前述の北欧出身組に極めて近い。特に疾走感とメロディの両立という意味で、BACKYARD BABIESやHARDCORE SUPERSTARスウェーデン勢に隣接している印象。本国では同系統と見なされるであろうHINDERに比べると、ややグルーヴよりも疾走感重視の傾向があり、その点、より日本人好みであると言えるかもしれない。

ともあれ、この手の「いかにも」なアメリカン・ハード・ロックを繰り出すバンドがアメリカから登場していることには、「ようやくか」というお待たせ感と同時に、大きな意義がある。この潮流がどこまで大きくなるのか、はたまた早々に収束してしまうのかはわからないが、次代を担ってもおかしくないクオリティを伴っているだけに、ちょっと身を任せてみても面白いかな、との思いはある。

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