場慣れすると本性を露わにする男、トニー・ハーネルが二作目にして支配権を獲得。TNT時代からその好みは実に明確で、彼が曲作りに深く関わりはじめるとテンポは落ち、旋律は過度に耽美的になる。
自らの関わり具合がこれほど作品に表れる歌い手は稀少で、それは彼が個性的かつ魅力的なヴォーカリストであることの証明でもある。
が、不思議と関わりが浅いと思われる作品の方が評判が良いという不幸なパターンかもしれない。つまりまださほど自己主張できていなかった前作の方が良い。
全てが歌メロを生かす方向に機能した結果、前作の前半部に顕著だったリズム隊とギターの緊張感漲る絡みはなりを潜めた。
一方で歌メロは、抜群の歌唱力と色気に文句はないが、極端にバリエーションに乏しい印象。
とはいえ安心品質のマグナス・カールソン印、完成度はそれなりに高くて困る。