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泣きながら一気に書きました

妄言コラムと気儘批評と悪戯短篇小説の巣窟

『LONELY ROAD』/THE RED JUMPSUIT APPARATUS 『ロンリー・ロード』/ザ・レッド・ジャンプスーツ・アパラタス

音楽レビュー(ROCK)

The Red Jumpsuit Apparatus - Lonely Road

いかにも面倒なバンド名に相応しい、ひと筋縄ではゆかぬ2作目となった。

アルバムに先駆けて公開されていた「らしくなさ」全開のL.A.メタル曲“You Better Pray”を冒頭に配する曲順は、明らかに聴き手の混乱を狙っていて意地が悪い。ここで「すわ、HINDER路線にグレたか?」と思わせておきながら、②ではまるでWEEZERな激甘ポップ・ソングで母性本能をくすぐり中心をすっかり見失わせる。かと思えば続く③は前作1st路線をまるまる引き継ぐらしさ全開の疾走曲でいったん着地。以降は前作よりバラエティに富んではいるものの、さすがに①ほどのブレた楽曲は見当たらず、核となるメロディは健在で、冒頭に覚えた驚きなどこちらはすっかり忘れている。

全体にパンク・テイストが後退し、疾走感が意識的に抑えられている点に欲求不満を覚えるが、前作も実のところ突っ走っていたのはほぼ前半の楽曲だけで、後半は結構ダルダルだったことを考えれば、あまり疾走感を求めてもいけないのかもしれない。かなりゆったりした曲調が中盤に連続するが、それらの楽曲も1stの後半の楽曲に比べれば、若干ではあるが着実にレベルは上がっている。

つまりは「デビュー作の頭4曲があまりに素晴らしすぎた」ということに尽きるわけで、それはもちろん凄いことなのだが、同時に高いハードルとして聴き手の頭の中に自動的に設定されてしまうことも事実。だから聴き手はどうしても、前作前半に収められていた“Face Down”や“False Pretence”と同系統同クオリティの疾走チューンを求めてしまうし、今後もずっとそれを言われ続けるのは彼らの宿命であろう。宿命とは背負うものではなく、背負わされるものなのである。

あのレベルの楽曲を作ることができないとわかって幅を広げようとしたのか、単に飽きたから他のことをやろうとしたのか、それはどこまで考えてみてもわからない。もちろん前者であったとしてもアーティスト側はそんなネガティヴなことを言うはずがなく、音楽性を広げた際の常套句として後者の発言をするのはまず間違いがない。そのほうが前向きに聞こえるから。

前作前半路線の曲は前作以上ではなく、前作後半路線の曲は前作以上の出来で、ポジティヴ・ポップなバラード⑦をはじめ少なからず新境地と言える+αもある。つまり全体的に見れば前作を下回る出来ではないし、特に前作と比較しなければ良質な作品であると思う。いくらなんでも「前作」という言葉が出すぎである。つまりは何度も言うがデビュー作の頭4曲が素晴らしすぎただけなのだ。そう、きっとそうだ。

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