ジミ・ジェイミソン名義でありながら、実はジム・ピートリックをどう評価するかで好き嫌いが分かれる作品。
復帰後のSURVIVORとPRIDE OF LIONS、どちらに近いかと言えば、後者に近い。それはつまりジム・ピートリックが全権を握っていることを意味する。メンバー的にも、実質的にPRIDE OF LIONSのヴォーカルにジミを迎えた状態、なのだから当然といえば当然だ。
SURVIVORの復帰作『REACH』を支えていたのは、実のところメイン・ヴォーカルのジミが歌う曲ではなく、フランキー・サリヴァンの歌う妙にポップな2曲(③“Nevertheless”⑩“Talkin' 'Bout Love”)であったように思う。あえてギタリストが歌うことに異論はあるだろうが、あの2曲がアルバム全体をカラフルに彩り引き締めていたのは間違いない。
それに比べると今作には、そういった弾けるようなポップさはなく、すべてが流麗に流れてゆく。つまりはその全体の「流れの良さ」を長所ととらえるか短所ととらえるかなのだが、どうも曲調が似すぎていて、単調に思えてしまうのも事実。そこはPRIDE OF LIONSと共通の問題点である。
後半にかけて徐々に盛り上がってゆくタイプの曲が多く、おしなべてイントロが弱いのが単調さの一因になっているように思う。曲数が多すぎるのも、ダレる原因としては典型的だ。
とはいえ、歌メロの後を追うように奏でられるジムのオブリガードは、ワンパターンとはいえやはり何者にも代えがたい魅力を放ち、良作『REACH』にあとひとつ足りなかったのは、彼のギターワークであったことが浮き彫りになってくる。
⑥“Behind The Music”は、イントロからラストまですべてが感動的で、ジムのギターなくしては成立し得ない名曲。楽曲粒ぞろいの『REACH』にも見受けられなかった最高レベルのメロディが、この一曲に集約されている。