過小評価されているが、実はLOUDNESS史上最も楽曲粒ぞろいの名作。Vo.のみ米国人のマイク・ヴェセーラ。
一聴してまず感じるのは、英語をネイティヴスピーカーが歌うことによる絶対的安心感と安定感。 前任の二井原の粘っこい発声が、いかにこのバンドの個性を形づくり、かつギタープレイの邪魔になっていたかに気づく。
マイクの歌唱は特に上手いわけでも味があるわけでもないが、高崎の弾きだす複雑なギターリフを潜り抜けて届く通りの良さは抜群。ギターとかち合わないというだけでも、充分に存在価値はある。後にイングヴェイがマイクを欲しがったように、手数の多いリフを弾くギタリストに必要なのは、ストレートで通りの良い声なのだろう。
楽曲的には⑦〜⑨が若干弱いが、ラストに待ち構える高速曲“Demon Disease”がきっちり引き締め、捨て曲なしと言い切ってしまいたくなる充実感を残す。
軽めの音質、楽曲の攻撃性、哀メロの質感ともに、どこかしらRIOTの名盤『THUNDERSTEEL』を思わせる。
音の重心を下げたリマスターおよびリミックスによる再発を望む。