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泣きながら一気に書きました

妄言コラムと気儘批評と悪戯短篇小説の巣窟

『PERPETUAL FLAME』/YNGWIE MALMSTEEN' RISING FORCE 『パーペチュアル・フレイム』/イングヴェイ・マルムスティーン

音楽レビュー(HR/HM)

Yngwie Malmsteen - パーペチュアル・フレイム

ジャケ写に垣間見えるメタボリックな腹のごとく、さすがの王者も決定的な弱点をいよいよ隠しきれなくなってきた感がある。普通はそういった弱点は積極的に隠したくなるものだが、そこらへん大胆というか鈍感というだけなのか、あえて隠そうとしないのがむしろ不思議。

たとえば相変わらず籠もりきった音質。今どき二十年前の作品のほうが音が良いというのはどういうわけか。

あえてガレージロックを目指しているというのなら話は別だ。しかし音楽性はネオクラシカルな金太郎飴で変わっていないのに、音質だけが悪化したまま改善の意志が見られないのは理解に苦しむ。たとえガレージロックでも、狙って猥雑感を出す音作りはあくまでも方向性の問題であり、根本的な音質の悪さを意味しない。わざわざミックスにロイZを起用した効果はどこにも確認できず、ましてや初回限定SHM-CD仕様など完全に無駄な抵抗。

それに比べれば、手グセ連発のギターソロや曲展開に関してはある程度理解できる。それは彼が前々から抱えている問題であり、むしろ「同じで何が悪い?」という開き直りさえ感じさせる。ひとつのジャンルを開拓した者が、次々と押し寄せる時代の荒波からその砦を死守する姿には、軽々とそのジャンルごと捨て去って先へ進んでゆく者と同等の潔さ、美しさがある。

もちろん今回も一定以上のクオリティを保っているのは流石というほかないし、またもヴォーカルが交代したことによる新鮮味も少なからずある。歌唱の力強さに引っ張られ、楽曲の方向性はジェフ・スコット・ソート期に近いストレートな印象。しかしリッパーの歌唱はICED EARTH時代ほど武器として機能しているわけではなく、かといってJUDAS PRIESTのときほど前任者の穴埋め的役割をさせられている感触でもない、つまりは無難な出来。

俺様イングヴェイが自らの腹の出っ張りを認め、それを引っ込める努力をするようなことがあれば、次作は期待できるだろう。

おそらく今後の作品の出来は、彼の体型に比例する。

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