「ジョン・サイクス期のWHITESNAKE+EUROPE」という公式で過不足なく説明できる明確な方向性。同じく欧州産でありながらアメリカで大ブレイクしたという共通点こそあるものの、この2バンドでは質感はだいぶ異なる。
しかしこの足し算は思いのほか相性が良く、むしろ自然すぎて無個性だと感じてしまうほど。だからといってこのバンドが今のアメリカでブレイクすることはまずありえないだろうが…。いずれにしろ両バンドが好きな聴き手ならば間違いなく、しかし想定の範囲内で満足感を得られるだろう。
つまりはギターがジョン・サイクス大好き&ヴォーカルがジョーイ・テンペスト命、という二点に尽きる。これがもし逆で、ギターがジョン・ノーラム風、歌がデイヴィッド・カヴァデール路線となるとTENになるのかもしれないが、ここらへんの配合具合は前作までとは比較にならぬほどスムーズになっている。
ただフレージングセンスの向上とともにパクりが露骨になっている嫌いもあり、それゆえ興醒めする瞬間も頻繁に訪れ、名作と断言できないのが歯痒い。
このクオリティのままパクりを減らすことができるのか、あるいは拝借フレーズを没にしたらとたんにつまらなくなってしまうのか、次の一手は彼らの実力を公にさらす試練作となるだろう。