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泣きながら一気に書きました

妄言コラムと気儘批評と悪戯短篇小説の巣窟

悪戯短篇小説「新語流行語全部入り小説2013」

富士山の八合目に美文字レベルの大の字をクッキリと浮かび上がらせるPM2・5の靄を突き抜けるように、困り顔メイク兼涙袋メイクで読モを気取ったNSC出身のこじらせ女子と、あまロスに悩むさとり世代の日傘男子が弾丸登山を試みた。これは実のところ、「頂上に…

悪戯短篇小説「ガンズ安堵おばはん」

街角のおばはんブティックで拳銃がクロスしたデザインの凶暴なセーターを売っていた。黒地に金のラメで胸元に拳銃があしらってある。ガンズ・アンド・ローゼズのTシャツで見たことのある構図だがこちらの方がむしろ凶暴だ。なぜならばガンズのTシャツは銃が…

悪戯短篇小説「違いがわからない男」

「ちょっとすいません」 「ちょっとじゃないだろう! だいぶすまないと思ってくれなくちゃあ」 「あ、すいません。でも正直、そこまですまないとは思ってないわけですよ」 「そんな中途半端な気持ちで初対面の人に声を掛けるなんて無礼だねキミは。急いでる…

悪戯短篇小説「史上最強の失業者」

祖父母の命令で鬼を殲滅したら次の日から失業した。鬼を全滅させたら鬼退治の仕事がなくなるということに、最後の一匹を倒している途中で気づいたが犬、猿、キジの手前もう後戻りはできなかった。自らの活躍が失業の危機を呼び寄せていることに気づかなかっ…

悪戯短篇小説「世界に一つだけの花を見つける世界に一つだけの方法」

私は世界に一つだけの花をついに発見した。世界に一つだけの花は、世界に一つだけの村にある世界に一つだけの森の奥の世界に一つだけの沼のほとりにひっそりと咲いていた。世界に一つだけの花は、私にとって間違いなく世界に一つだけの花だったが、皆にとっ…

悪戯短篇小説「使えない理由」

道ばたに佇む男がいる。男は見たところ何もしていないが何かを待っているような顔だけはしている。その手にステッキを握っているのも、なぜかしら何かを待っているような印象を通行人に与えている。だが男は本当に佇んでいる。男は何も待っていない。純粋に…

悪戯短篇小説「不向き村」

花粉症の木こりが木を伐っている。その木の枝には高所恐怖症の猿がいて、猿の目線の先に広がる海には、ビート板で泳ぐ海兵隊が大量に浮かんでいる。全員が全員、ビート板なしでは泳げないのだ。海兵隊のひとりがビート板から手を滑らせ溺れかけると、これま…

夢一夜 スーパージェッターせいじ

運動会当日、校庭には巨大なトレーラーが持ち込まれた。タイヤがいっぱいついている。この日を楽しみにしていたどころか、僕は普通の体育の授業だと思っていたらしく、校庭の周囲にぐるりと並べられた椅子で靴ひもをむすびながら、とにかく困惑していた。困…

悪戯短篇小説「ランドリー・マン」

油谷は蝉の抜け殻を集めていた。今では洋服ダンスの5段すべて、蝉の抜け殻で埋め尽くされている。抽出をあけるたびにキュッキュと鳴くのは、もちろん蝉の仕業ではなくタンスが古いせいだ。あくまでも抜け殻であり、油谷は蝉本体に興味はない。当初は、ストリ…

悪戯短篇小説「元祖エビサーの誕生」

「これ以上は限界かもしれないな。もうマスプロだ」 ヨシカズはショーウィンドウに映った自らの後ろ姿を振り返り、そう呟いたのだった。マスプロとはもちろん、「見えすぎちゃって困る」の意である。 ヨシカズは数年前、ローライズブームが襲来した際に、仲…

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